雷門から2分、浅草でいちばん人通りの多い角の地下に、1950年代からほとんど変わっていない通路があります。浅草地下街は、低い天井、むき出しの配管、蛍光灯、そして20軒あまりの小さな店が並ぶ約50mの空間です。床屋、占い、DVDの店、それに通勤客が立ったまま食べる麺のカウンターがいくつか。1955年に開業し、2014年の春からは現在も営業している日本最古の地下商店街になりました。通り抜けは無料、所要10分、そして浅草寺の近くでいちばん安いランチが食べられる場所です。
この短い通路が大事な理由
1955年、銀座線の駅の隣にこの地下街が開業したとき、日本の地下商店街は神田と銀座の2つだけで、浅草が3つ目でした。理由は場所にあります。日本初の地下鉄である銀座線は1927年からここが終点で、駅の横の通路は、乗り換え客やお寺へ向かう人のためにそば屋や床屋を並べるのにうってつけの場所だったのです。
ほかの地下街は残りませんでした。2014年4月26日に三原橋の銀座の地下街が閉鎖されると、浅草地下街が現存最古となりました。ネットでは「日本最古の地下街」と紹介されていることがありますが、少し不正確で、正しくは「現存する」最古です。いずれにせよ、見た目は文化遺産らしさとは無縁で、そこがいいところ。お土産屋も解説パネルもなく、あるのは低い天井、むき出しの配管、水じみ、古い看板だけ。まさに「昭和そのもの」と評される風景です。
入口の探し方
ほとんどの人がここであきらめます。仲見世には地下街への案内がひとつもなく、階段もほかの地下鉄出口と見分けがつきません。行き方は4つあります。
- 6番出口(地上)。 駅の角にある新仲見世のアーケードに東の端から入ります。入ってすぐ左手に階段がありますが、隣の明るい店の看板に紛れて見落としがち。雷門にいちばん近い入口です。
- 8番出口(地上)。 松屋デパートとEKIMISE(東武浅草駅)のビル前の、小さな三角形の広場にあります。「浅草地下街」の看板の下にある下り階段を探してください。いちばんわかりやすい入口です。
- 銀座線から。 「松屋・隅田公園」と書かれた改札を出て左へ。数歩で地下街に入るので、地下鉄で来るならこれがいちばんスムーズです。
- 東武浅草駅から。 東武線の正面改札を出て、銀座線方面へ階段を下ります。地下街の入口(7番出口)はその途中にあります。
浅草には同じ名前の駅が4つあり、地下街があるのは雷門そばの銀座線・都営線・東武線が集まる一角の下で、国際通りのつくばエクスプレスの駅の下ではありません。どの駅がどれかはアクセスガイドで整理しています。
地下にあるもの
店舗数は少しずつ変わります。2014年の地元ニュースでは21軒、その後の一覧では23軒でした。どの区画も小さく、ほとんどがカウンターひとつ、部屋ひとつの店です。だいたい次のような顔ぶれです。
- 麺のカウンター。 ほとんどの人のお目当てで、次の章で紹介します。
- 格安の床屋「カットセブン」。地下街で最もよく知られた店のひとつです。
- タイ料理とベトナム料理の小さなカウンター。
- 占い、マッサージと気功の店、DVDショップ、印刷店。
- 閉まった区画。 シャッターが下りたままの店もあります。これも雰囲気の一部で、来る日を間違えたわけではありません。
共通の営業時間はありません。各店がそれぞれ時間を決めていて、いちばん長く開いているのは麺のカウンターです。早朝に来れば、食べもの屋はにぎわい、ほかの店はシャッターが下りているはず。日曜の夜遅くならその逆です。地下街自体は駅の公共通路にありますが、個々の店がいつ開くかはその店しだいです。
通路を撮影する人は多く、映画ファンにとってはちょっとした聖地にもなっています。ただし店の人は仕事中なので、カウンターの向こうの人にレンズを向ける前にひと声かけましょう。

浅草地下街で食べるもの
地下街の評判を支えているのは2軒のカウンターです。
文殊:立ち食いそば
文殊は、地下街と同じ住所、浅草1-1-12にある立ち食いそば店です。開店は平日6:00(土日は7:00)、閉店は平日23:00、土日21:00。名物はかき揚げそばで、温かいつゆのそばの上に、野菜をまとめて揚げたさくさくのかき揚げがのっています。立ち食いそばは昔ながらの東京のファストフード。注文して、カウンターで数分で食べ、丼を台に置いて出ていく。仲見世のどんな体験ともまったく違います。入口に券売機があれば、先にそこで支払いましょう。
福ちゃん:焼きそば
福ちゃんは、銀座線の改札を出てすぐ、地下街の駅側の端にある焼きそばのカウンター兼小さな居酒屋です。映画ファンにはヴィム・ヴェンダース監督の『PERFECT DAYS』でおなじみで、公衆トイレの清掃員である主人公が、仕事帰りに一杯やってつまむのがこの店です。焼きそばは、甘辛い濃厚なソースで炒める日本の定番の屋台麺。店はとても小さいので、ランチのピークを外すと座りやすくなります。
そのほか
タイ料理やベトナム料理のカウンターは、駅なかの値段でさっと一皿食べるのにぴったりです。麺のあとに座ってしっかり食事をしたいなら、浅草グルメガイドで紹介している天ぷら、すき焼き、甘味の店まで歩いて5分です。
周辺とあわせて回る
地下街は10分で見終わるので、散策の途中に組み込むのがいちばんです。以下はどれも徒歩5分ほどの範囲にあります。
| 周辺スポット | ここで楽しめること | 徒歩 |
|---|---|---|
| 雷門と仲見世 | 浅草寺の参道の起点 | 2分 |
| 神谷バー | 「日本で最初のバー」を名乗る店で、ブランデーベースの電気ブランの本家。11:00〜20:00、火曜と月2回の月曜定休 | 1〜2分 |
| 吾妻橋 | アサヒの金の炎のオブジェとスカイツリーが並ぶ定番の眺め | 2分 |
| 浅草の水上バス乗り場 | 隅田川を下って日の出桟橋やお台場へ向かう船 | 1〜3分 |
| ドン・キホーテ EKIMISE | 東武浅草駅ビル4階の小型店、10:00〜20:00 | 1〜2分 |
私たちのお気に入りのルートを2つ。
お参り前の朝ごはん。 開店と同時に文殊でそばを食べ、6番出口から地上へ出て、仲見世が混む前に雷門へ。つゆでお腹を満たし、門をほぼ独り占めしながら、9:00よりずっと前に本堂に着けます。
夜のひと回り。 日が暮れてライトアップされた浅草寺を参り、シャッター絵を見ながら仲見世を戻り、19:30のラストオーダー前に神谷バーで電気ブランを一杯。それから文殊で遅めのそばを。最後は吾妻橋でライトアップされたスカイツリーを眺めて締めくくり。日が暮れてからの過ごし方は夜の浅草ガイドに、川沿いや船については隅田公園と隅田川のページにまとめています。
ガイドと一緒に巡るなら
私たちの知る限り、地下街そのものを目当てにしたツアーはありません。あまりに短時間で済んでしまうからです。ガイドが加えてくれるのは周辺の街の背景です。浅草六区がどのようにして東京の映画と娯楽の中心地になったのか、どの老舗に立ち寄る価値があるのか、地元の人が実際にどこで食べているのか。相性がいいのは裏通りや夜の散策ツアーで、地下街にはその前後に自分で立ち寄れます。
料金は各予約サイトに表示される最安プランの米ドル表示で、日付や為替で変わります。最終的な金額は予約ページでご確認ください。 料金確認日: 2026年9月28日.
食べることが一番の目的なら、フードツアーのほうがおすすめです。浅草文化観光センター発の無料ボランティアツアーも含めて、散策ツアーをまとめて比べたいならウォーキングツアーガイドと、無料ツアーの多くが出発する浅草文化観光センターのレビューをご覧ください。
行く価値はある?
買い物目当てなら、ありません。売っているものはごく普通で、通路も短いからです。観光客向けに誰も整えていない場所が好きなら、浅草で最も面白い10分間のひとつで、しかも小銭でそばが一杯ついてきます。行くなら早朝か夜。通勤客がカウンターで食事をしていて、地下街が昔からずっとそうだったもの、つまり「駅の下の近道、ランチ付き」に見える時間です。




